すぐそこにある。
2019年 05月 14日
「薬物依存症者なんて自分の周りで見たことないわ」
オフィスでの休憩時間に芸能人の薬物問題が話題になった時、同僚がこう言った。
いやいや、あなたの目の前にいる私の息子がそうですから。
ちょっと自虐的に心の中でつぶやく。
私は息子のことを特定の人以外に話していないので、同僚は知る由もない。
こういう話題になると、私はいつも心にフタをしてしまう。
けれど今回は、どうしても言いたかった。
「気づいてないだけで、意外と身近にいるもんだよ」
同僚は、「そんなわけないやん」そう言って、なぜだか、あははと笑った。
いったいなにが可笑しいんだろう。
同僚の気持ちがわからないでもない。
私も昔はそうだったから。
薬物依存症は、私にとって遠い世界、別世界の話だった。
だから、息子が薬物を使用していると知った時、現実に起こっていることだと受け入れるには少し時間がかかった。
目の前で起こっていることなのに、脳が受け入れることを拒否しているみたいに。
なにかの間違いでありますように、と願ってもしかたないことを、願ったような気もする。
少し時間が経つと、急速に思考が動き始めた。
どうしよう。
逮捕される?
新聞に載る?
どこに、誰に、相談すればいい?
息子の、私たち家族の人生は終わった?
足元から崩れていく、ってこういうことなのだ。
いろいろな恐れの感情や、薬物依存症の知識がなかったせいで、回復の道に辿り着くまでずいぶんと遠回りをしてしまった。
今、困っている、苦しんでいる本人、そしてその家族には、同じような遠回りをして欲しくない。
今、あなたが思い描いている解決策とは違うかもしれないけれど、解決策はある!
薬物依存症は、遠い世界、別世界の問題ではありません。
オフィスで隣りの席に座っている人、エレベーターに乗り合わせた人、道ですれ違う人、同じ町内に住んでいる人、の中に薬物依存症の問題を抱えている本人もしくはその家族がいるかもしれません。私がそうであるように。
薬物依存症は、あなたのすぐそこにある問題です。
そして、薬物依存症は回復可能な病気なのです。
*NINA*
by familiesofaddicts
| 2019-05-14 14:02
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