視野を広げるために
薬物依存症が病気だと知るまでの私がどうだったかを思い返しました。
娘が高校入学後、様子が急に変わりました。
私は単に羽目を外しているだけで、何れは収まるのだろうと思っていました。
そして学校を変われば新しい人間関係の中でやり直せるだろうと、本人の納得の上で他校に編入をさせました。
それでも意欲を見せる時もあれば気怠そうな時もあり、その気分の波は安定しませんでした。
辛そうな様子があるかと思うと強気なふるまいもありました。
環境を変えても彼女は変わらず、親身に会話をしてもその場限りでした。
次第に彼女中心の生活になりつつあり、何も変わらない苛立ちが私の中に蓄積していきました。
そして高3の秋を迎える頃、薬物使用が発覚しました。
人生が終わったかのような衝撃でした。
それと同時に彼女に抱いていた疑問の数々が線となりました。
犯罪に手を染めたわが子を助けるのは私しかいない、私が立ち直らせると決意しました。
そして私の愛情の具現が始まったのです。
彼女が喜びそうなことを察しては世話を焼きました。
ですが何一つ変わりませんでした。
私と彼女の関係も状況も以前のままでした。
一年が経とうとした頃、疲弊した私が辿り着いたのは薬物依存症の家族が集う自助グループでした。
そこで初めて薬物依存症が病気であることを知るのです。
それまで私が変えようとしていた娘は病気であること
私が彼女にしてきたことは彼女の回復の妨げになっていたと…
知らなかったとはいえ、逆のことをして互いに傷つけあいました。
そして彼女に向けていた意識を変え始めました。
薬物依存症が病気で治療が可能だと知ることで、家族の視野は広がります。
依存症者を治療に繋げるためのノウハウを活用し、動くことが出来ます。
家族だって自分の生活をとり戻してゆけます。
メディアの薬物依存症者の尊厳を傷つける報道に、依存症者が受ける影響を思うと胸が痛みます。
家族が依存症を理解し回復のためにやってきたことが、一瞬にして踏みにじられてしまいかねないと懸念します。
同時に苦しんでいる家族には、独りで抱えずに家族だけで悩まないほしいと思います。
家族の勇気ある一歩が、大切な依存症者を助けます。
Luna
by familiesofaddicts | 2019-05-16 09:34 | Comments(0)