カムアウトする。
2019年 07月 15日
このところ、残念な出来事が多いけれど、人生はそう悪いことばかりではない。
薬物依存症者の家族であることを長年隠していたが、ここ数年知り合った人に少しずつカムアウトしている。
不思議なもので、長年付き合いのある友人・知人には、なかなか言い出せないのだけれど、新しく知り合った人には驚くほど簡単に話せたりするのだ。
年齢のせいか、ここ最近出逢って、仲良くなった人たちは、お互いの生い立ちや家族などにあまり興味がなく、ひとりの人としての興味しかないからかもしれない。
ともすれば、フルネームもしらなかったりする。
それでも、私が平日の夜や、週末の休日に出かけてばかりいるのを不思議に思うようで「いつも忙ししいねえ」と言わることがある。
その大半は、自助グループや家族会、スポンサーシップに費やしているのだが。
なんだか、誤魔化すのが面倒になって、「実は息子が薬物依存症で、今は回復して一社会人として働いているんだけど、私は家族の自助グループのミーティングに通っているの」と説明するようになった。
それでその人が離れていっても仕方ないよね、と思いつつ、なんの根拠もないがそうならない確信みたいなものがあったのだ。
その結果、「そうなんだ。それってどんなことするの」とみんなが興味をもってくれるようになった。
そうなったらしめたもの、ここぞとばかりに私は薬物依存症の説明を始めるのだ。
今のところカムアウトして、関係性が悪くなったり、いやな思いをしたことがない。
若い友人も、同年代の友人も、男女を問わず、「大変だったんだね、けど回復してよかった」と言って、依存症の話をもっと聞きたいとも言ってくれる。
今子育て真っ最中の友人たちは、もし自分の子どもに問題が起こったら、ぜひ手を貸してほしいと言ってくれる。
私だけではなく、息子の助けも借りたい、とも。
いい友人たちにめぐりあえて私は幸せ者だ。
理不尽な蔑みや、批判を恐れてきたけれど、こうして理解して受け入れてくれる人たちもいるのだ。
人はよくわからないことを恐れるものだ。
だから、伝えていきたい。
一度薬物に手を出してしまったからといって、人間をやめることにもならないし、破滅にまっしぐらでもない。
自分の意志では止められないけれど、すぐに止めることは難しいけれど、回復は可能だ。
「今日一日薬を使わずに過ごす」それを続けている人たちがいて、一社会人として生きていることを。
*NINA*
by familiesofaddicts
| 2019-07-15 23:26
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