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今日一日

「昨日、職場でいやなことがあって、クスリを使いたくなった。今でも、苦しいことがあるとクスリに逃げたくなる」
えっ、どういうこと?
ということは、あなたはまだ薬をやめようとしていないってこと?

あるフォーラムで、初めて薬物依存症の当事者の話を聞いた時の衝撃は忘れられない。
もう薬物を使用しなくなって7年だという人の話に、驚き、そして正直に言うと少しがっかりもした。
二度と薬物を使わない、と決心することが更生の第一歩だと思っていた私は、その頃「薬物依存症」のことをなにも理解していなかった。
そもそも、「更生」ではなく「回復」だ。

時が経ち、「今でもクスリを使いたくなる」となぜその人が話したか、そのわけがわかるようになった。
依存症者の気持ちが理解できたのではなく、自分も同じだとわかったからだ。
私は、「二度とやりません」そう宣言して、二度とやらなかったことはない。
「二度とやらない」という言葉には嘘がある。
「嘘」は言い過ぎかもしれないけれど、自信はないけれど誰かの期待に応えたいという気持ちや、反省していることをわかってもらいたいという気持ちが含まれている。

二度とやらない、そう言ってしまったからこそ、その言葉に囚われ、やってしまったら、もう私はダメだ、ダメな人間なのだ、と自暴自棄と自己憐憫でますます同じことを繰り返してしまうからだ。
それよりも、「ダメだと思っていても、同じことをやりそうになるんだよ」と誰かに正直に話したり、弱音を吐いたりしながら、「とりあえず今日一日はやめておこう」というやり方のほうが、うまくいく。
そして、もしやってしまっても、「そうか、うまくいかなかったんだね、じゃあ、これからの残り一日はやめておこうよ」と言ってくれる人がいたら、そこで人生終わったと自暴自棄にならずに、新しい一日を過ごすことができる。
それが回復ということだ。

依存症者でなくても、生きていれば多かれ少なかれ、「もう二度とやらない」と宣言したくなることがあるのではないだろうか。
「二度とやらない」より、「やりたくなったりするけど、今日一日はやめておこう」
そうやって生きていく方が、楽に生きていけると私は実感している。

  *NINA*


by familiesofaddicts | 2019-09-10 12:27 | Comments(0)