知らないってこういうことなんだな。
2019年 10月 01日
週末にろうの方々と一緒にスポーツを楽しむイベントに参加した。
開会の挨拶に続いて、準備体操。
壇上で体操を始める体育部のスタッフの動きを見ると、ラジオ体操だ。
いつものラジオ体操の音楽が聞こえないとなんだか奇妙だ。
そこで、ハッと気づいた。
そうか耳が聞こえないというのは、こういうことなのだ。
彼らは、音のない中でラジオ体操をしているのだ。
プログラムが進んで、綱引きが始まった。
お馴染みの「オーエス!」がないと、引くタイミングが合わなくてどうもうまくいかない。
手話講座の仲間の息子さんが「なんでオーエスって掛け声かけないの?タイミングが合わないから負けるんだよ」と不満気。
そうだよね、私も実はそう思ってたんだよ、と言おうとして、ハッと気づいた。
その掛け声は、聞こえないのだ。
知らない、とはこういうことなんだ。
悪気もないし、配慮がないわけじゃない。
知らないから、わからないのだ。
手話通訳士の友人にこの話をした。
「そうなんだよね、ろう者に変わって銀行に電話することがあるの。こちらの事情を散々説明したあげくに、では最後に確認のためにご本人に電話をかわっていただけますか?って言われたりするんだよ。悪気がないのはわかってるけど、ほんとがっかりするよ。知らないってこういうことなのよ。」と彼女は言った。
依存症についても同じなのではないか。
みんな知らないから、やみくもに恐れたり、蔑んだりするのではないか。
だとしたら、その責任の一端は、私たちにもある。
知ってもらうための努力をしてこなかったから。
出会うどのろう者も、一生懸命私に手話を教えてくれる。
優しく、楽しく。
まだ、ちゃんと理解できない私に、大丈夫、ゆっくりでいいから一緒に話そうよ、と。
狭い世界の中から、少し足を踏み出したら、知らないことがいっぱいだと気づく。
そして、それは新しい世界へと私を誘ってくれる。
知ろうとすることで、毎日が輝きだす。
*NINA*
by familiesofaddicts
| 2019-10-01 11:14
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