僕のかわいい次男坊 その⑤ 狂い始めた設計図
2019年 10月 25日
夕方に目を覚ました次男坊に
すぐさま僕は駆け寄り 確かめた
何よりも昨日までの おかしな次男坊
完全に正気を失った次男坊が
元の状態に戻っているのか
その一点を 話し始めて直ぐに
結果が判った
頭の先から足の先まで 黒い重たい液体が
ドロドロとゆっくり
僕の中で流れた感じがした
まったく状況は 変わっていない
これまで家族に対して
自分に対して 先の事まで
計画し設計して来た 設計者の僕の
設計図が狂い始めた
何度 話しても 何を話しても
何度 質問しても 結果は同じだ
そこから 設計者の僕は
設計図を修正し始める
狂った設計図を 何度も 何度も
消しては描き 描いては消し
病院から 行政の窓口から
薬物依存関連の施設から
ネットや電話を駆使し 昼夜問わずに
狂った設計図を正しい設計図に
修正する事に翻弄した
電話をすれば
顔の見えない相手に
藁をもすがる思いで話しては 泣き
行政の窓口に行けば
若い女性に一般論で悟されては 泣き
家族も変わらないといけないとの
アドバイスの声には 僕の事じゃない!
なんて悠長な事を言うのかと 受け入れず
どうにもこうにもならない
一方で
次男坊が 外出しようとするのを
力づくで止め 部屋に止めた
なんとかしなければ
昨日まで 思い描いた
設計図も全て狂い始め
修正する事は 直ぐには
不可能である事だけは
理解出来てきた
学校に普通の状態で
登校させなければ
卒業が出来ない
卒業出来なければ
就職先が無くなる
その脅迫観念
親としての義務
これまで積み上げて来た
僕の努力 我慢
思い描いた理想の家族
そんな思いを 思えば思う程
僕の設計図はどんどん狂い
勢いをましていく
木枯らしの吹き始めた 冬の日
いよいよ僕が描いた 設計図は修正が
出来ない程に 大きく狂いはじめた・・・・
やぶれたタカのつばさ