日曜日の午後のお話
2019年 10月 29日
温かいコーヒーをポットに注いだ。
ちいさなパウンドケーキのラッピングも完了。
お気に入りのギンガムチェックのピクニックラグもバッグに入れた。
よしよし、待ち合せの場所に向かおう。
不安げにあたりを見まわす人に手を振る。
お待たせしてごめんね。
公園で話をしようよ。
そして大きな木の下に向かった。
さてさて、なにが心配なのかな?
堰を切ったように話し始める人。
そうだよね、私も同じだったよ。
なにもかもが心配で、今までのやり方を変えることなんかできそうにないよね。
けど、今日あなたは私に会いにここまで来てくれた。
すごいことだよ。この間初めて会ったばかりなのに。
そうそう、コーヒーを淹れてきたんだよ。おいしいパウンドケーキもあるよ。
今日はお天気がいいから、公園にはたくさん人がいるね。
風が心地いいなあ。この木の下は私のお気に入りなんだよ。
深呼吸するとなんだかチカラが湧いてくる気がしない?
ひと息ついたら、その人はとても大切なことを話してくれた。
うんうん、それが聞きたかったんだよね。
今の話でよくわかったよ。
自然の力が、こんがらがった糸をするっするっと解きほぐし始めたようだ。
たくさんの苦しさの中で、どんどん心を覆っていった固い殻が少しずつ剥がれていくカラカラという音が聞こえるような気がした。
そうやって心を守っていかないと生きていけなかったよね、私たち。
あらあら、もう3時間も話しているね、私たち。
こんな風に外でのんびり過ごすのは久しぶり、そう言って笑う人の頬はオレンジ色に染まっていた。
もうひとりじゃないから大丈夫。
もつれた糸も、固い殻も、どんどん解きほぐされ、剥がれていくから。
こんどは、もっとたくさんの仲間の話を聞いてみて。そしてあなたの話を聞かせて。
太陽のぬくもりと、優しい風と、緑のシェードを作ってくれた木々に、ありがとう、を伝えて私たちは公園をあとにした。
日曜日の午後のお話。
*NINA*
by familiesofaddicts
| 2019-10-29 11:34
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