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タンポポの綿毛が風に乗って種子を運ぶように私たちの思いが​苦しんでいるあなたのもとへとどきますように。


by 関西薬物依存症家族の会

3分間を抱きしめる

仕事を終えビルを出ると
気持ちのいい風が吹いてくる。
駐輪場までの長い歩道橋を歩きながら
目に映るのは
噴水に、はしゃぐ子供たち
それを見守る若いママたち
その奥に、寒い冬から春にかけて
ずっと花を咲かせる寒桜が立っていて
「あなた もしかして私じゃない?」
なんて、やけに共感できる木があります。

3年前の冬
息子が再逮捕され塀の中の生活を強いられてから
落ちそうな気持ちを丸ごと
この桜の木に投げかけ、話しかけてきました。
3年てー
どんだけ長いんやー
辛いやろうな〜 
と、どんだけ思っても
彼の苦しみは、彼にしか味わえず

私が薬を使わせたのではない
今居る場所も、彼自身が選択して生きてきて得た結果
私にはどうすることもできない
私は、ただ自分のすることをするしかない
私が笑顔でいることが、彼の気持ちを楽にできる…
なんて、話しかけながら歩道橋を歩きます。

頭では、わかっています。
何もできない
彼の問題は彼の大事な回復するための宝物。
だけど
幸せになって欲しいと慈しむ気持ちは
勝手に言葉もなく湧き上がってきて
自分ではどうしようもなく、胸がキュッとなる。

「わたし」というものをつくりあげている(それも勘違いだろうとは薄々気づいてはいるが)
この遺伝子に組み込まれているんだから仕方がない。
時々、このどうにもできない感覚と
思考を変える事でどうにでもなる物事が
入り混じって暴走してしまうわたしではあるけれど
家路にたどり着く3分間は
彼への想いをごった煮しながら、抱きしめる。

さぁー
帰ってまだ手のかかるもう一人の息子のために
美味しいご飯を作ろう。

           トネリ子



by familiesofaddicts | 2019-11-02 18:22 | Comments(0)