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どんな人たちだと思いますか?

自分の息子が薬物依存症だとわかるまで、私は実際に薬物依存症の人に会ったことがありませんでした。
それまではテレビドラマ、映画やニュースで見かけるだけでした。
反社会的組織の人、芸能人など、私とは別世界の人たち。とんでもないことをしている怖い人たち。だと思っていました。
ドラマや映画での依存症者は、退廃的で、おどろおどろしく、意志の弱い、人でなしのように描かれていました。
ニュースでみる薬物事犯は、とても恐ろしかった。
ワイドショーでみる芸能人たちは、お金・異性問題など醜聞にまみれていました。
それらを疑うことなく信じて、とにかくただ恐ろしかったし、とんでもない人たちだと思っていました。

そう思っていたので、息子の薬物の問題が発覚した時は、ただただ怖くて、世間にわからないように自分たち家族でなんとかしようと必死になりました。怖さだけではなく、恥の意識もありました。
家族の醜聞を世間に知られたくない、その気持ちも大きかった。
なんだかわからないけれど、とんでもないことが起こっている。
親なんだから、わからないなんて言ってられない、なんとしても対処しなければ、薬をやめさせなければ、と厳しく叱ったり、優しく諭したり、泣いて懇願したり、監視したり、管理しようとしたり、考えつくありとあらゆることをしました。
それでも、薬はとまりませんでした。
罪に問われても、それは同じでした。
今のような情報のない頃の話です。

そんなことを数年繰り返したのちに、やっとのこと助けを求め、まず家族である私が回復施設や自助グループに繋がることができました。
そこで初めて薬物依存症からの回復に取り組んでいる人たちや、回復を続けて社会復帰している人たちに出会ったのでした。
その人たちは、私が想像していた人たちとは大違いでした。
あまりのギャップに驚きました。優しく人懐こい好青年。穏やかな大人の男性。
街ですれ違っても、彼らが依存症者とは気づかないでしょう。
もちろん、回復に取り組んだばかりで辛そうにしている人たちもいましたが、彼らがやがて穏やかに過ごせるようになるのだと回復した人たちをみると希望が持てました。
そして、私の息子もいつかそうなれたらと希望を持つことができたのです。
「希望」そんな言葉が出てくるのは、ほんとうに久しぶりでした。とっくの昔にどこかに捨て去ってしまっていました。諦めていました。
まだ遥か遠くにしか見えないちいさなちいさな灯だけれど、そこに向かっていけば私たちは変われるかもしれない。
そう思うと、私は苦しいながらも前に進むことができました。そして、私たち家族と息子は今日まで生きながらえたのです。

私自身も長い間、ニュース報道やワイドショー、デフォルメされたドラマや映画をみて、薬物依存症の人たちに対して、憤ったり、恐れたり、蔑んだりしてきました。
もしかしたら、依存症以外のことでは、私は今も同じことをやっているかもしれません。
自戒を込めて、自分の目で耳で確かめ、正しい知識を得、学んでいきたいと改めて思っています。

行政や全国各地の回復施設で依存症に関するフォーラムが開催されています。
当事者やその家族の話を聞いていただく機会があります。
足をお運びいただき、話しを聞いていただけたら幸いです。

   *NINA*


by familiesofaddicts | 2019-11-26 11:44 | Comments(0)