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みせしめ。

昨日、ピエール瀧さんが俳優業に復帰するというニュースが飛び込んできました。
たびたび石野卓球さんのツイートで元気に過ごしてらっしゃる様子は拝見していましたが、俳優として仕事を再開されることは、ファンとしてだけではなく薬物依存症者の家族としてもほんとうに嬉しいニュースでした。
卓球さんはじめ、今回監督をつとめられる竹中直人さん、山田孝之さん、斎藤工さんなど、多くの仲間に恵まれているのは、ピエール瀧さんのお人柄なのでしょう。
今から映画を観るのが楽しみでしかたありません。

そんな嬉しい気持ちを逆なでする記事を、今朝目にしました。
ピエール瀧さんの復帰決定に批判殺到、早期復帰には疑問符を投げかける人は少なくない、という論調でネットでの反応が記されていました。
「これではみせしめにはならない」
みせしめにはならない?
現行法を犯したことで罰を受けた、それでは足りないのでしょうか。
薬物事犯に限らず罪を犯した人は、みせしめにならなければならないのでしょうか。
「みせしめ」というこのひと言が、心の奥深くまで突き刺さりました。

薬物に問題のある人たちは、薬物を使わずに生活できるようになったら、自立して生きるために再び職につきます。
薬物依存症だということが就職先にわかると採用されないことがあるので、現状ではそれを告げずに職を得ることが多いのです。
そのことを踏まえて採用してくれる会社があれば、こんなに嬉しいことはありません。
芸能人や著名人は、全国どこに行っても顔を知らない人はほとんどいません。
薬物を使用していた過去を隠すことはできないし、顔を知られているぶん他の仕事に就くことは難しいでしょう。
そうなるとどうやってその人たちは生きていけばいいのでしょうか?
「みせしめ」のために、職に就くこともできず、隠れて生きていけということでしょうか。
一緒に仕事をしようとオファーしてくれる人たち、職場があるのだから、それは喜ばしいことだと思うし、素晴らしいことだと思います。
なによりも、才能を活かして仕事ができるのだから。
社会生活を営み、仕事で活躍し税金を納める、その方がずっと社会の役に立ちます。
そして、失敗してもやり直すことができる、という希望を与える存在になります。
「執行猶予中は仕事復帰などあり得ない」という声も記されていましたが、ピエール瀧さんの執行猶予期間は3年と聞きます。
ちょっと考えてみてください。
3年の間、収入なしでどう生きていけばいいというのでしょう。
全ては違法薬物を使用したせいだ、自己責任だ、もちろんそうです。
けれども、そのことを認め、罰を受けても、「みせしめ」として生きていかなければならないとしたら、回復などありえません。
回復の先に「みせしめ」という新たな罰があるのなら、薬物依存で苦しんでいる当事者もその家族も、助けを求めることはできなくなります。
薬物依存から回復した先に希望がなければ、助けを求めることはできません。

私たちは、私たちの家族が違法薬物を使用したことを正当化しようとしているのではありません。
けれども、そのことで「みせしめ」にされるのは耐え難い。
どうか、私たちから希望を奪わないでください。
そして、再起しようとしている人たちの未来を奪わないでください、と心からお願いいたします。

 *NINA*


by familiesofaddicts | 2020-02-04 11:42 | Comments(0)