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私たちの経験を利用してください。

私は、保護犬を里親さんに繋ぐ活動のお手伝いをしています。
その譲渡会でのことです。
どういうわけか、その日は60歳以上の里親希望者さんがたくさん来場されました。
私は、その方たちとの面談を担当しているので、いろいろとお話を伺いました。
今まで一緒に暮らしていた犬を見送り、また犬と暮らしたい、という方たちでした。
迎えたい保護犬の希望理由は様々です。
ずっと小型犬と暮らしていたので、今度は大型犬と暮らしたい。
飼育経験があるので、どんな子を迎えても大丈夫。etc.
お話を聞いていて、むむぅ、と心の中で唸ってしまいました。
多くの方は、ご自分の年齢を考慮しておられない。
経験があるから大丈夫、果たしてそうでしょうか?
豊富な経験があっても、年を重ねるごとに気力も体力も衰えていきます。
犬が病気になった時に、あなたはその大きな子を抱えて病院に行けますか?介護できますか?医療費だってかかります。
飼育経験が豊富でも、今までと同じように、犬と向き合える体力はありますか?
犬を看取るまで、あなたは元気に過ごすことができますか?

そんなことを思いながら面談をしていた時に、ふと依存症者の家族も同じだなあ、と思いました。
ずっと問題を抱えて暮らしていると、時間の経過がわからなくなります。
いつも問題の中心にあるのは、依存症者のこと。
頭では自分が老いていく、とわかっていますが、問題がいつも目の前にあり、それに振り回され続け、立ち止まることなく相も変わらず世話をし続けてしまいます。苦しくて、辛いけれど、世話をすることには慣れています。
いつか家族が当事者の世話をすることができなくなる、そのことを考えることすらできない状況に陥ります。
親だから面倒をみるのは当たり前。いつかこの子がクスリを使うのをやめて普通に生きてくれるはず。
そう思いながら何年も、何十年も変わらず世話をし続ける。
とっくに「この子」は中年の域に達し、親も年老いてしまっている。
そして、ある日気づくのです。
自分がこの世を去るまでに、きっと「この子」はまともな人生を送るようになるという幻想の中で生きてきたことに。
自分が世話をすることができなくなった時、自分がいなくなった時、「この子」はどうやって生きていくのだろう。

家族だけでなんとかしようと頑張ると、目の前のことだけに囚われ、自分や依存症当事者の「これから」に目を向けることができなくなってしまいます。
幻想の中で生きることはありません。家族も自分の人生を取り戻しましょう。諦めないで。
誰かに助けをもとめましょう。
誰と繋がるか、も大切なことです。
どうか私たちの経験を利用してください。
私たちの経験を利用していただけるよう、困っている家族のみなさんのもとに情報が届くよう、よりよい発信の方法を考えていきます。

 *NINA*




by familiesofaddicts | 2020-06-17 17:06 | Comments(0)