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こわいこわいオバケ

私の中には、オバケがいます。

ありもしない恐れや不安が、オバケの正体。
元々、そういうオバケは私の中に住んでいたのですが、薬物依存症者の家族になってからそのオバケはものすごく巨大化してどんどん増殖していきました。

息子が薬物依存症だなんて世間に知れたら、と思うと怖くて怖くてたまりませんでした。

ダメ。ゼッタイな薬物を使った犯罪者。人間に非ず、と世間は思っているに違いない。
現に、薬物使用による犯罪がことさら強調され報じられ、ワイドショーでは声高に薬物使用者やその家族を糾弾している。
そんなことが世間に知れたら、一生私たちは顔を上げることができない。
どんなことがあっても隠さなければならない。嘘をつき通さなければならない。

隠すこと、嘘をつくこと、に罪悪感を感じていました。
どんどん「こわいこわいオバケ」は増殖していき、誰にも相談したり助けを求めることができませんでした。
愛する息子をどうすることもできない無力感と絶望感。
そんな状態が長年続き、ずいぶん回復まで遠回りをしてしまいました。

あることをきっかけに、自助グループに通うようになりました。
そして相談できる人たちに出会いました。
息子の薬物の問題はすぐに解決しなかったけれど、私が元気を取り戻すことでオバケは小さくなり、数が減っていきました。

家族の仲間たちや支援してくれる人たちのサポートで、眠っていた私のなにかが目覚めました。
目に見えないのに、まるでそこに実際にあると思っていた恐れや不安は、私が作り出した「こわいこわいオバケ」だとわかるようになりました。

「こわいこわいオバケ」は私たち当事者家族だけに生息してるわけではありません。

依存症について誤解や偏見を持っておられる社会のみなさんの中にも「こわいこわいオバケ」が増殖しているようです。
予防教育は不可欠。とても大切なことです。
でも、薬物を一回でも使用したら人生は終わり。おどろおどろしい内容。誤った情報が予防教育として行われています。
薬物を使用してしまった人をむやみやたらにおそれる「こわいこわいオバケ」が生まれ、過剰な報道・誤った情報がそのオバケを増殖させていきます。
今、薬物の問題で困っている人の中にも、自分はもう終わりなんだと絶望し、相談すること、助けを求めることをおそれる「こわいこわいオバケ」が生まれ、増殖させていきます。

私たちも「こわいこわいオバケ」のせいで、長い間声をあげることができませんでした。
そして社会における薬物依存症当事者や家族に対する誤解や偏見に、ただ黙して耐えているだけでした。
「こわいこわいオバケ」が当事者・家族と社会の人々の双方に増殖していった原因の一つは、私たちが声をあげてこなかったことだと思っています。
正しく理解してくださる人たち、応援して下さる人たちが増えてきましたが、正しい情報よりも「こわいこわいオバケ」の勢力は絶大です。


依存症当事者・その家族と社会のみなさん、双方に巣くう「こわいこわいオバケ」やスティグマを、「正しい情報」で根こそぎやっつけるゴーストバスターズになりたい、そうありたいと心に誓っています。

 *NINA*

by familiesofaddicts | 2021-06-30 14:25 | NINA | Comments(0)