呪縛を解き放て。
2021年 07月 27日
家族の問題は、家族で解決しなければならない。
という呪縛が私たちを苦しめていた、と気づくのにずいぶん時間がかかりました。
依存症の問題に限らず、この呪縛に苦しんでいる人たちがたくさんいるのではないでしょうか。
この呪縛を解くのは簡単ではありません。
特に、世間体、周りの目を気にして生きてきた私には難しいことでした。
世間ってなに?
そう問われると、ちゃんと答えられないのだけれど。
とにかく周りの目が怖かったのです。
家族の問題、特に薬物の問題をよそ様に知られてはいけない。その思いが強すぎて、問題の本質を全く理解できなかった。
苦しい時があまりにも長すぎて、正常な思考もできなくなり、私自身もおかしくなっていました。
何が問題で、それを解決するにはどうすればいいのか。それすらわかりませんでした。
誰かに話すのも怖かったし、どう話していいのかもわかりませんでした。
初めて回復施設に相談に行った時にも、正直に話すことなどできませんでした。
こんなにも困っているのに、口から出てくる言葉は
「ほんとは優しくて、いい子なんです」
「仕事もまじめにやって、人からも好かれる子なんです」
「優しすぎて、傷ついてしまうのです」
「私も彼の話をよく聞いているし、親子の関係性は悪くないんです」
ああ、恥ずかしい。こうやって書いてみるとほんと赤面してしまいます。
取り繕おうとする気満々。なんのために相談してるんだか。
しかし、そんな親には慣れている回復施設のスタッフ。
呆れるでもなく、淡々と客観的な話をしてくれました。
それでも、「いやいや、うちの息子はそこまでひどくないし」と心の中では思っていた私は、ほんとにおバカでした。
回復施設のスタッフの勧めもあり、自助グループに参加するようになっても、しばらくは正直に話すことなどできませんでした。
けれども、薬物の問題を話せることがうれしかった。
苦しいこと、困っていることを話せるのがうれしかった。
しばらくの間は、息子の問題ばかりを話していましたが、だんだん、自分のことを話すようになっていきました。
そうすると、いろんなことが見えるようになってきます。
家族の問題を家族で解決することは、難しいのだなあ。
そうか、誰かに助けてもらっていいんだ。いや、むしろ誰かの手を借りなければいけないんだ。
徐々に呪縛から解き放たれていきました。
今度こそ、今度こそ!とずっと同じことをやり続けてきたけれど、問題は解決するどころか、悪くなる一方だったんだ!
そうわかるようになりました。
家族がまずそれをわかるようになる、このことが問題解決の一歩です。
家族会や自助グループは、呪縛を解く場所でもあります。
*NINA*
by familiesofaddicts
| 2021-07-27 11:57
| NINA
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