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タンポポの綿毛が風に乗って種子を運ぶように私たちの思いが​苦しんでいるあなたのもとへとどきますように。


by 関西薬物依存症家族の会

このサイクルで生きる幸せ。

長引くコロナ禍で、どうしても鬱々とした気分に陥ることがありますが、一つだけよかったと思えることがあります。
オンラインミーティングやZoomを使って、遠方の人たちや海外の人たちと繋がることができるようになったことです。

特に、大好きな作家やさまざまな分野で活躍されている方々、興味のあることに携わっている方々のオンライントークショーに参加できるのは、ほんとうにうれしいことです。
これまでは、実際にお話を聞いてみたいなあ、と思っても、開催地が東京ということが多かったので諦めていました。
海外在住の作家や、日本のいろいろな地域にお住まいの作家の方々がお話している姿が自宅にいながらにして見られることに、最初は夢かしら?と思えるくらい興奮しました。

あるオンライントークショーに参加した時のことです。

親は自分の過去から子どもたちに、自分と同じ失敗をしないように口やかましく言い、子どもたちの未来のためにこうした方がいい、ああした方がいいと、これまた口やかましく言う。
子どもたちの今を見ている親はあまりいない。

という話がでました。
自分のことを言われたんじゃないか?と思うほど、ドキッとして、胸に刺さりました。
そうなのです。子どもが間違わないように、子どもが傷つかないように、子どもの将来のために、良かれと思って散々私がやってきたことです。
子どものため、とずっと思っていましたが、自分の不安や恐れを子どもにぶつけていただけだったなあ。
その時々の子どものことをちゃんと見ていなかった、私の姿が生々しく思い出されました。

それは、子どもに関してに限らず、あらゆる人間関係においても言えること。
自分が不安だから、いろいろな恐れがあるから、過去の経験に基づいて相手の感情を勝手に想像したり、ありもしない未来を想像して、しっちゃかめっちゃかに感情をかき乱す。小さな感情の波を、荒れ狂う大波にしているのは、他の誰でもない自分自身だったのです。
自分以外の人の感情なんかわかるわけないし、未来のこともわかるわけないのに。
どうかすると、自分の感情すらよくわからないこともあるのに、自分以外の人のことをわかった気になる、ってなんて傲慢なんだろ。
特に子どもに関しては、知らず知らずのうちに自分の所有物みたいに思っていたふしがあります。

家族であっても、それぞれがひとりの人である。
そう理解すると、家族の一人ひとりを尊重できる。そして自分をちゃんと尊重しよう、自分を大切にしよう、ということもわかってきます。
誰かの娘、誰かの妻、誰かの母という自らに課した枠を打ち破って、私自身を生きたい、生きようと思います。
そうするとまたわかってくることがあります。
家族のため、子どものため、という言い訳で覆い隠していた、自分の問題があらわになります。
できない、変えられない、そんな理由ばかりを探して、言い訳して、問題から逃げていた自分が見えてきます。
誰かのせいだ、と他人のせいにして、可哀そうな自分を作り出していたことがわかります。
私自身を生きるためには、そんな問題に向き合わなければならない。

その一方で、たくさんの苦しい時を生き抜いてきた力を持ち合わせていることにも気づきます。
我慢強さもピカイチ!なんてったって、依存症者と長年過ごしてきたのですから。
困っている人の気持ちだって、誰よりも理解できます。共感力もバッチリ!
それらを間違った方向にさえ使わなければ、なかなかいいところありますよね、私にも。

自分だけではわからないことに、誰かと繋がることで気づきます。
その繋がりは、助け合う、に繋がっていきます。
その最初の一歩が、自助グループや家族会。
私はその一歩から、たくさんの人と繋がることができました。
今は、仲間だけではなく、より多くの人と繋がり、私の世界を広げていっている途中です。
誰かに助けられ、誰かを助け、また誰かに助けてもらう。このサイクルの中で生きていることを幸せに思っています。

  *NINA*


by familiesofaddicts | 2021-08-17 13:47 | NINA | Comments(0)