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タンポポの綿毛が風に乗って種子を運ぶように私たちの思いが​苦しんでいるあなたのもとへとどきますように。


by 関西薬物依存症家族の会

あの頃の私はきっと信じない。

始まりはいつだかもう記憶が定かではありませんが、自助グループに通い出してもう15年くらいになります。

大麻所持で収監されたことで、ある回復施設に相談に行きました。
お母さんはまず自助グループに通ってください、そう施設のスタッフに促され、なんだかわからないままに自助グループに行きました。
想像していたのとは全く違って、そこに参加している人たちは笑顔で私を迎えてくれました。
そこにいる人たちは、特別な人たちじゃなく、どこにでもいる人たち、例えばお隣さんやご近所さんのような普通の人たちでした。
けれども、大きく違っていることは、名前も住んでいる所も職業も知らない人たち。そして大切な人の薬物の問題で苦しんでいる人たちでした。
ああ、ここでは安心してほんとうのことを言ってもいいんだなあ、と初めて参加した時から不思議なことにそう信じられました。

あの頃の私は、息子をどうにかしたい。薬物使用をやめさせたい。その思いだけで自助グループに通っていました。
けれども、そこで即効性のある方法を教えてくれるわけじゃない。
来る日も来る日も、ただみんなの話を聞き、自分の話をするだけ。
そんなことに、なんの効果があるの?
効果どころか、息子の状況はますます悪くなっていく。
だいたい私は、自分から望んで自助グループに通い始めたんじゃない。施設のスタッフの言う通りにしただけ。
だって、言うこと聞かなきゃ、施設に見放されるかもしれないもん。
でも、もういいや。
と、なんだか、馬鹿らしくなって、ある時から自助グループに行かなくなりました。
いやはやお恥ずかしいことです。なんて傲慢だったのでしょう、私って。

そんな私を見放すことなく繋がり続けてくれた仲間のおかげで、回復のプログラムを知り、スポンサーを見つけ、プログラムに取り組むことができました。
そして再び自助グループに通うことになりました。
息子のためではなく、自分のために自助グループが必要だったのだと、やっと気づいたのです。

それから長い年月が経ちました。
いろんなことがありました。
自助グループの仲間や家族会の仲間、スポンサー、回復のプログラムに助けられたり、助けたりしながら今日まできました。
どれ一つ欠けても今の私はいなかったでしょう。
私は依存症の仲間たちだけではなく、それ以外のいろいろな人たちと繋がれるようになりました。
それが面白くて、楽しくて。
ほんと自分でもびっくりします。人生わからないものです。

息子の問題に気づいてから早や18年。
あの頃のわたしに「これからしばらく辛く苦しいことが続くけれど、あなたの未来はなかなかいいもんだよ」と言ってあげたいけど、そんなことを言われても「はあ、なに言っているの?」って、きっと信じなかったでしょうね。

ここに書いていることの意味がわからない、と思われる方もいることでしょう。
私も最初はそうでした。
これを読んでくれた、今苦しんでいる、困っている家族の方が、なんだかわからないけれど、なんかありそうだなあ、という興味を持って下さったらうれしいです。
そして、もしあなたが一人で悩んでいるのなら、ぜひご連絡ください。お待ちしています。

  *NINA*







by familiesofaddicts | 2021-09-07 14:41 | NINA | Comments(0)