普通ではない息子
2021年 12月 23日
普通に学校に行き卒業して、普通に就職して
普通の家庭を持って、普通に孫を見せてもらう
本当は、普通よりチョット良い普通を期待していた。
そんな期待していたものは、薬物依存症というものに容赦なく潰されてしまった。
息子がおかしいと気づき、何とか自分の思い描いたものに引き戻そうと必死だった。
その頃は、薬物依存症や息子の人生について無力であることは知る由もなかった。
自助グループに繋がり、ミーティングや仲間と分かち合いで
何度も繰り返し「無力」と言う言葉は目や耳にしていたが、本当に心の奥で認めるには時間が掛かった。
いやもしかして、まだ期待しているかも。
焦りや不安の中で普通を求めれば求めるほど、それは遠ざかって行ったような気がする。
恐れや絶望の感情をそぎ落すことは、そう易々と出来るものではなかった。
ミーテイングに通い続ける事で、仲間の成功体験を耳にすることが出来き
グリグリの頭の中は、「それって見よう」と思えた。
息子が家から離れ物理的な距離が出来てくると
落ち着きを少しずつ取り戻し、私は少しずつ変わることが出来た。
そして、息子にも変化が訪れてきた。
自分の足で進もうとしてくる。
家族以外の相談できる人が出来た。
自分を変えたいと動き始めた。
自分で生きていく力が授かっていく。
普通の呪縛からありのままの息子を受け入れ
手助けせず暖かい気持ちで見守れること
それは自分で歩き出す力を引き出すキッカケを
掘り起こしたような気がした。
自分が素敵と思える・楽しいと思える人生を
送って欲しいと願う感情は当然だと私は思う。
しかし、愛情を持って見守ること
それが、ちょっと遅い子育ての様な気がする。
GENGEN