自分の時間
2023年 02月 08日
娘の依存症と向き合って5年、自分の事は全部後回しだった。
娘が精神科へ入退院を繰り返している頃、両親がガンの末期になり、
3人それぞれの治療に同行していた。「なんで今なん?!」両親には娘の事を話せない。きっと娘だけを
見てやれ、と言うに決まっている。
でも、両親も放っておけない。
死にたい娘、生きたい両親を看るのが
本当に切なかった。
私と娘は重度の共依存だった。
私はいつも娘の顔色を窺い、
薬を買われないか、飲酒運転されないか・・・ずっと監視していた。
何か問題が起きたら真っ先に
尻ぬぐいした。娘も何かあるたび
私に話をしてきていた。
生きづらさ、孤独感を薬物で
紛らわせているのが
分かっていた。娘を不憫に思う
気持ちが強く、なかなか手が放せ
なかった。
ほどなく両親は亡くなり、娘は今
依存症回復施設にいる。
突然自分の時間が出来ると心に
ぽっかり穴が開いてしまった。
何をすればいいのか分からない・・・。
何を見ても娘を思い出してしまう。
施設でどんな暮らしをしているのか?
重度の薬物依存症だと施設長に
聞いて不安になった。
施設から脱走するたび、胸がざわざわ
して眠れなかった。
私は自助グループ、家族会に繋がり、 仲間に話を聞いてもらったり
自分の体験を話しているうちに楽に
なってきた。
今は自助グループの活動が忙しくて、
あまり娘を思い出さなくなった。
仕事のない日は、何してたっけ?
趣味の手芸、庭の手入れ、映画も
見たい、ぐっすり寝たい。色々
したい気持ちが戻ってきた。
自分のためだけに時間が使えるのって、何て贅沢。これが当たり前ではなかった今までの自分に
「これからも何かあるかもしれんけど、きっとどうにかなるよ。今日一日を精一杯楽しもう。」
と言ってやりたい。また、今悩んでいる方にも「勇気を出して相談してね、何とかなるよ」と伝えたい。
福