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タンポポの綿毛が風に乗って種子を運ぶように私たちの思いが​苦しんでいるあなたのもとへとどきますように。


by 関西薬物依存症家族の会

幸せを測るものさし

12日に父が逝った。

戦時中に生まれ、戦後の貧しい時代に生まれ育った人である。


父は近所の人に、「ケンちゃん」と言われて親しまれていた。

近所の人と焼酎を飲んでは陽気になり、よく踊っていた。

また祝い事になれば、必ずと言って皆の前で踊りを披露していた。


そんな父であるが、厳しい時代に生まれ育ち、7人兄弟の長男として兄弟たちの面倒を見るため、一生懸命働き詰めだった。

自分にも厳しく、子供の私たちにも厳しく、母にも辛く当たっていた。

記憶の中の父は、いつも怒られて顔色ばかり伺っていた。

私は、そんな父が嫌いであったし、むしろ軽蔑していた。


そして、通夜の夜

線香やロウソクの寝ずの番をする。


父の遺影を見ながら、ふと感じた。

「父の人生は辛いことばかりで、なんだか可哀そうだな」と思っていた感情が、ぐるりと変わった。

前日の仮通夜の夜、父の遺影や葬儀場に飾る写真を選ぶため、父の写真を選んでいた。

父の若かりし頃

結婚直後と思われる頃

幼少期の私と父

孫と過ごしている時の父の顔など

ほどんどの写真が笑っている。


辛いことの多かった父の人生であったが、父には集落の人、仲のいい友人、そして家族がおり幸せを感じていたんだ、楽しかったことも沢山あったんだ。


私は、勝手に父の人生を決めつけていた事に気が付いた。

私の「幸せを測るものさし」と父の「幸せを測るものさし」は違っていたんだ。

父に対し、すごく失礼なことをしていたと思った事と共に、ほんわかで温かい感情も覚えた。

遺影を見ていると色んな記憶がよみがえる。


雨の日、庭の木に縛られていたこと。

大きな大木に夜中に姉と縛られ、フクロウが鳴いており怖かったこと

土間を掃除するホウキで殴られ、鼻血を出したこと。

高校の体育祭を弁当を作って見に来てくれたこと。

喧嘩して警察に捕まり、泣かせてしまったこと。

書ききれない思い出が次々とあふれだしていた。

温かい記憶も思い出すことが出来た。


アダルトチルドレンの私は、これは「埋め合わせ」だと言う事に気づいた。

12ステッププログラムを実践していることで、気付かせて貰えた感覚だろう。


あるお坊さんの言葉です。

「死は、無くなるという無ではなく、尊い死によって、尊い誕生がある」という言葉を思い出しました。

父の死によって、私の中に何かが生まれたかは分かりませんが、言葉や文字にできない何かを感じることはできた。

できれば、父が生きているうちに父の幸せ感じたかった。

しかし、父の死が無ければ感じることはなかっただろう。


そして、依存症の次男の「回復の物差し」を決めつけないようにしようと思った。


人生の中で、仲間の存在は絶対必要だ。

同じ境遇の辛さを共感してもらえる仲間・助けを差し伸べてくれる仲間がいるから、私は絶対この先の人生もの乗り越えていけると思う。



GENGEN


# by familiesofaddicts | 2021-01-14 16:26 | GENGEN | Comments(0)
あけましておめでとうございます。

今年は、4日が月曜日だったので、例年より一日早い仕事始めとなり昨日から日常生活が戻ってきました。
そして今日の午後は、保護観察所の家族ワークが始まります。

2019年から、月一回の保護観察所の家族ワークに参加することになりました。
それまでは、スポットで家族としての体験談を話すという形で参加していましたが、一歩進んで具体的に家族はどのように行動していけばいいかということを参加家族のみなさ、関西薬物依存症家族の会のメンバー、保護観察官の方々とでシェアしています。
このような機会を与えてくださったことに感謝すると共に、今年は私たちのスキルを上げてもっとわかりやすく、具体的な行動を伝えられるよう頑張ります。
この繋がりが途切れないように大切にしていきます。

家族やパートナー、友人に、もしかしたら薬物の問題があるのでは?と思ったら、まず関西薬物依存症家族の会に聞いてみよう、相談してみよう。と思っていただける存在になりたい。
そのためには、もっともっと私たちの知識、伝えるスキルも必要です。
社会のスティグマを払拭するためには、まず私たちが動くことが必要です。
ブログだけに留まらず、2021年は新しいことに取り組んでいきます。

2021年もよろしくお願いいたします。
  *NINA*

# by familiesofaddicts | 2021-01-05 12:00 | NINA | Comments(0)

今年を振り返る

色んな気づきと仲間の支えを貰えた1年であった。


自助グループで青い薄手の書籍を輪読している。

20ページほどの書物であるが、この書物の言葉の意味をしみじみと感じた。

“「助ける」ということ”のページの意味が、どんどん自分中流れ込んできた感覚を感じた。

ミーティング中に何回読んだだろう。

活字を目にして、言葉に出していたが今までの私の中にはきちんと入り込んでいなかった。


依存症者の息子に思うのは、「自分の力で生きていく力を持って欲しい」と言う事だけです。

そのためには、父親の私は彼に何をするべきか?

私の役割は「何もせずにいること」であるがこの解釈が、私の心が動揺している時は、様々なとらえ方をしていた。


自殺をすると脅してきたときには、どの様に対処したらいいだろう?本当に自殺したらどうしよう。

そう騒動のあと、息子から助けてとSOSがあり、必死に回復施設に繋げようとしたこと。

爺ちゃん子の息子に、田舎の爺ちゃん体調が悪いため一緒に連れて帰りたいと思う気持ちなどなど。


仲間の事であれば、この書物に書いてあることを冷静に提案などしていた自分であったが、いざ自分事になったらザワツキが止まらなく、どうして良いか?迷っていた。

見せかけの回復、成長だったのだろうか?

その時は相談できるスポンサーや仲間がいて、自分の気持ちを引き戻して貰えた。


家呑みの中で、ちょっといい気分になれば、YouTubeでカラオケをやってしまう。

時折「案山子」を歌い、号泣することがある。

依存症者の親として、やってはいけないことが歌詞にあるが、その気持ちになるだけだったら悪くないと思う。

アホみたいに泣いたら、意外と気持ちがすっきりするものだ。


息子は、NAに参加し回復施設の方ともつながり、時々食事もしているみたいだ。

詳しいことは知らないが、息子にも仲間が出来ているようだ。

決して良いことばかりが続くとは思えなく、またザワツク事があるかもしれない、でも私には引き戻してくれる仲間がいるから安心だ。


それと、自分の感情・思いを文章にすることが苦手で、ブログを書くのが嫌であった。

しかし、ブログを書くことで、忘れていた感情や記憶を思いだす事が出来てなんか、良かった。

誘って頂いた仲間に感謝です。


皆様、良いお年をお迎えください。



GENGEN


# by familiesofaddicts | 2020-12-31 01:06 | GENGEN | Comments(0)

私たちが希望になろう

あと数日で2020年が終わります。

去年の今頃は、まさか新型コロナ感染症に世界中が翻弄されるなんて思ってもみませんでしたよね。
コロナ感染症だけではなく、暗い、厳しい、悲しいことがたくさん起こった一年でもありました。

その一方で、希望につながることもありました。

3月に関西薬物依存症家族の会を立ち上げました。
そして5月にこのブログを開設しました。
今まで批判を恐れ、沈黙を続けていた薬物依存症者の家族が、社会に向けて一歩足を踏み出すことができました。
恐るおそる踏み出した一歩でしたが、その一歩が大きく私たち家族の意識を変えていきました。
自分の置かれている境遇、依存症に対する社会的スティグマ、偏見を嘆いてばかりいた私たち。
これではいけない、そう思って改めて回りを見渡してみると、まだまだ助けを求めることすらできない家族、助けを求めても適切な支援を得ることができない家族がたくさんいることに気づきました。
こうしちゃいられない!ぐずぐずしていては何も変わらない。
よちよち歩きで方向が定まらない段階から、少しずつ進む方向がわかるようになりました。
たくさんの方の力を借りながら、来る年にはしっかりとした足取りでさらに前に進んで行きたいと思っています。

高知氏、清原氏はじめ著名な方々が積極的に自助グループや薬物依存症について発信してくださったおかげで、依然として批判はあるものの、ずいぶん社会の受け止め方は変わりました。
また高知氏には、大阪府依存症早期介入・回復継続支援補助金事業として関西薬物依存症家族の会が開催している意見交換ミーティングに参加していただいています。
リカバリーカルチャーが日本で根づき始めたことは、私たちの希望です。

You'll never find a rainbow if you're looking down.

チャップリンの有名な言葉ですが、かつての私たちはうつむいていたばかりに希望を見つけることができませんでした。
そして誰かが私たちのもとに希望を見つけてきてくれることをただ待っているだけでした。
今の私たちはちょっと違います。
私たち自身が誰かの希望になれるように、顔を上げて前に進んで行こうと思っています。

2020年の私の投稿は今日が最後です。
Today not someday を読んでくださってありがとうございます。

みなさま、よいお年を。

来年もよろしくお願いいたします。

 *NINA*




# by familiesofaddicts | 2020-12-29 12:48 | NINA | Comments(0)

今年の出会い

今年の出会い


今年最後のブログです。

目を閉じて

私は何を感じる?


今年は、生活が一変した。


外出自粛

田舎に二ヶ月に一度帰りたいと思う私の気持ちと裏腹に

もう一年は帰省していない。

父の状態が良くなくて、

母も不安そうで、

すぐに飛んで帰りたいのに出来ない現実に直面。


依存症の次男も今年は、大ピンチだった!


私の体調の変化!

ミーティングに行けない日も多かった。


今まで、帰省することや私の健康、ミーティングに行くことは

当たり前のように思っていたけれど

そうではなかった。


次男も私もピンチの中で、

出会ったもの


死にたいと言っていた彼は、自分と同じ境遇の仲間に出会った。


私は、仲間と信じる力に出会った。

次男を助けることも出来なくて、今の状況から自由に帰省できなくて

自分のどうしようも出来ないものを、認めたことで

何かの大きな力を信じる気持ちが、深くなった。


ふっと楽になった感覚に出会った。


当たり前が、感謝に変わった。

不思議な感覚。

人は生きる力があるのだと思う。

私は、依存症や共依存という病から

手を放すことができることを学び、

助けてもらうことで、

私は生かされていると実感しています。


今年もありがとうございました。

来年もたくさんの仲間と出会えますように


IKO



# by familiesofaddicts | 2020-12-28 11:11 | IKO | Comments(0)